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渇水の渓流で大スランプ

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魚の活性が低いだけだろうか? やはり、人的プレッシャーも大きいのだろう。そして何といっても(ルアーにせよテンカラにせよ)、まだまだ未熟なんだと思い知らされた。

9月14日、大見湿原も渇水

数日、京都市内では夕立の降る日が続いた。渓流も水が太くなっただろうと予想して、この日は葛川の京都府側の源流・大見川をめざすことにした。

途中(とちゅう)の分岐で、いつもは右方向の花折峠に向かうが、今回は京都市内向きの左方向へ。うす暗い中、百井(ももい)峠の急坂を登って、百井集落を通過するころ夜が明けた。

増水時はこの橋の上まで水が来るのだろうか

大見(おおみ)は京都市左京区の大原の飛地にある山間集落で、1980年代には、地下鉄建設の残土で埋め立てて運動公園を作るという計画があった。

結局その計画は流れたので、集落も、高原状の大見一帯の自然も無事に残っている。

反対運動の一環として立木トラスト運動を展開したグループが所有する大きな小屋が、集落のはずれに建っている。1996年ごろの春先、まだ雪が残る時期に、そこを借りて1週間ほど泊まり込んで、バンドのレコーディングをしたことがある。その小屋も健在だった。

大見集落の小学校跡地

冬の間は雪に閉ざされる大見だが、夏の間は、今も誰かが住んでいるようだ。人の姿は見なかったが、2軒ほどの家には生活の気配があった。

しかし、20年前はあった小学校跡は取り壊されて、杉林に囲まれた静かな空き地になっていた。

6時過ぎに大見川の、大見集落手前2キロぐらいの上流部分から釣りを始めたが、思ったよりだいぶ水が少ない。というか、かなりしょぼい。

大見川も厳しい渇水だった

軽めの2.2グラムのスプーンを投げるが、ほとんど渓魚のチェイスも見えない。

集落近くまで釣りあがったものの、高低差がなく広く開けた湿原の中を流れる川は、干上がりそうなほどの渇水。

ルアーを見に石の下から出てきたアマゴを一回見たぐらいで、渓魚の反応もほとんどなかった。

かなりの雨が降らないと、この一帯では釣りは無理だ。高原状の穏やかな流れを楽しむという目論見は、大外れだった。

アシビ谷源流のチビアマゴ

10時半ごろ車に戻り、峠を越えて尾越(おごせ)へ。尾越の集落を越えた先の林道沿いにはアシビ谷の源流が流れており、かつて5月の雨上がりに、テンカラでアマゴがボンボン飛び出した楽しい思い出がある。

尾越集落からさらに林道を奥に進み、アシビ谷源流が林道と出会うあたりに車を停めた。河畔の雑木林と斜面を伝って少し下り、アシビ谷源流部分に出てみた。水は少ないが、釣りができる程度には流れている。

この日は、可愛らしいアマゴ1尾だけだった…

ほぼ第一投で、白く反転して小さなアマゴが釣れた。こりゃ幸先ええぞ!と喜んだが、まさかこれが、この日触れることができた唯一の魚になるとは。。。

アタリもないまま、あっという間に、二ノ谷の合流地点まで釣り上がってしまった。ここで、尾越からの流れが泥っぽく濁っており、それがアシビ谷の濁りであることが判明。

分岐したニノ谷は透き通っていて嬉しいが、結局、流れが狭まって水量ある好ポイントで、ルアーに寄るアマゴを2度ほど見ただけだった。

さらに釣り上がってみたが、すぐに、杉林の中をチョロチョロ流れる渇水状態になった。こうなったら、テンカラでも釣りは不可能だ。大見もダメ、尾越もダメとなると、下流に移動するしかない。

百井川でも不発

大見川と百井川が合流するヒノコ一帯の葛川は、この渇水期でもまとまった水量があり、実に良い感じの流れが続いている。しかし、渕と呼ぶには浅い広々としたプールや、穏やかなザラ瀬は、5月6月の盛期なら釣れそうだが、夏の昼間はまず釣れなさそうな気配。

「いい感じ」やけど、いかにも釣れなさそうな流れやなーと、諦め半分でキャストしていたら、明るい日向で、アマゴらしき魚がライズした。真昼間、しかも明るい水面でのライズとはめずらしい。

樹から落下する昆虫でも狙って飛び出したのだろうか? その付近にキャストしたが反応はなく、ライズも一度きりだった。

大見川を右に見送り、初めて百井川に入ってみた。やや岩盤状の、ナメ混じりのいい流れだ。しかし釣れない。カワムツ1尾釣ったのみだった。

ちょうど西日に向かって釣り登る形になり、まぶしくなったので車に戻り、大見川の下流部分に移動した。

下流部分は百井川よりもひとまわり水量も多い感じで、岩盤状のところや、丸石の多い瀬は水量もあり、釣れそうな気配はあるのだが。

しかし結局ダメだった。5時に、スパッとあきらめて竿をたたんだ。この日も、アマゴの塩焼きを食うことはできなかった。