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渇水の渓流で大スランプ

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ツボクリ谷は、まだ渇水だった(9月21日)

9月に入ってから、白滝谷、大見川と惨敗続きである。シーズン終了まで、あと10日を切ったこの日は、最初からアシビ谷の枝谷であるツボクリ谷を目指した。出発した時点では、平(たいら)集落上流の、今年まだ入っていない区間を釣り歩く入るつもりだったが、五百円の有料駐車場にすでに2台止まってる(釣り人とは限らないが)のを見て、アシビ谷口に変更した。

林道入り口に着くと、道端にテント張った釣り人が準備を開始していた。6月からテンカラを始めたという彼と、沢割り交渉も含めてしばし雑談した。渇水で苦戦していることを伝えると、彼は「コロナで、渓流釣りやる人が増えてるらしいですよ」と言う。

この谷はヤマビルが多いこと、自分も先月やられたことを話した。↓

彼によると、昨日降りてきた釣り人も、ヒルに噛まれまくっていたらしい。

自分は最初からツボクリ谷を登るつもりだったので、ツボクリ谷の出会いまで自分は竿を出さずに歩き、アシビ谷とツボクリ谷を釣り分けることで話はついた。

彼にはヒル出現の注意をしたものの、気温もグッと下がって、天気予報もカラッと晴れなので、大丈夫だろうと思ってた。が、発電所の手前で念のために足元を確認すると、さっそく2匹のヒルが渓流足袋についており指で弾いた。

ところどころ崩壊した登山道を歩き、山小屋のあたりから川に降りて、ルアーを投げた。アシビ谷本流は、思いのほか水量がある。しかし渓魚のチェイスは見えず。

チビ岩魚が釣れてくれて、一安心

7時にツボクリ谷に入ったが、アシビ谷に比べてガクッと水量が減った。

ポイントは、落ち込みや小滝壺にほぼ限定されてしまい、「魚もストレスたまってるやろな〜、何か釣りづらいなー」と思いつつ遡行。

8時ごろ、小さいイワナがようやく1尾釣れた。毎度のことながら、リリースサイズと言えども最初の1尾が釣れたら、急に気が楽になる。

カラッと晴れてるが、朝っぱらからヒルを見たこともあり、釣りながらも時々足元をチェックした。ツボクリ谷では、一回だけ、渓流足袋によじ登ってきたヒルを発見して指で弾いた。

気持ちいいアタリで出てきたイワナ

ツボクリ谷の中ほど、ちょうど京都滋賀の県境あたりに、高巻きしないと越えられない滝がある。

その滝のちょっと下から上流にかけての間は、いい感じの規模の落ち込みが続く。渇水状態でも比較的釣りやすいポイントが、連続して現れる。

前回と同じく、皆子山への登山ルート分岐までの一帯で、20センチをちょっと切るやや良型のイワナがテンポよく釣れた。

滝壺状の落ち込みでは、ゴンゴン!という明確なアタリとともに、ほぼ目の前まで来たスプーンを食ってきた。20センチあるかないかのサイズなので、迷ったあげく結局リリースしたが、こういう釣れ方をすると本当に楽しい。

小滝壺から、明確なアタリ

釣れるのはほとんど、投入したスプーンをタダ巻きしてる時だった。どうやらトゥイッチ入れたりあれこれ変化つけるより、ゆっくりタダ巻きする方がよく食うようだ。

それから、白滝谷のイワナは全体的に白っぽい明るい色をしているが、この谷で釣れるイワナは尾びれや腹の橙色が鮮やかな気がする。同じ水系でも渓ごとに、イワナに特徴があるみたいだ。

いかにも釣れそうなアシビ谷で不発

皆子山登山ルートへの分岐を超えたもう少し先でも釣れるかと期待したが、すぐに沢が3本に分岐してしまった。分岐した先の上流は、もう釣りできる水量ではなくなったので昼の12時半ごろ、下降を開始。

途中、大きめの落ち込みや滝壺に再度ルアーを投げてみたが、いずれも反応はなかった。

1時半ごろ、合流地点に降りた。今日はなぜか、アシビ谷の濁りが少ない。前回は濁りのきつかったプールも、割と透き通っている。渇水の影響はツボクリ谷に比べると小さく、水量のある流れも残っている。もともとスケールの大きい谷であることを再確認した。

先行者が入っていたとしても、これだけの水量があれば竿抜けポイントも残ってるだろうし、何とかなるだろう。と、おおいなる期待を込めて、軽く釣り登ることにした。

釣れるはずだが釣れない

しかし、「いかにも釣れそう」「釣れないとおかしい」ポイントで、まったく反応がない。

ツボクリ谷や白滝谷のような枝谷に比べると、「本流」っぽくて、ポイントがつかみにくい。枝谷だと、何のことはない浅場や、ほぼ止水状態のプール脇に投げたルアーにも、石陰に潜むイワナが飛び出すが、それもまったくない。

結局、チェイスを見たのは、2度のみ。ゆるい流れの脇からイワナが出たのと、隠れ家から猛ダッシュで飛び出して、ルアーを見切って猛ダッシュで引き返した渓魚が一匹。あのスピード(特に引き返す時の)からして、アマゴだったかもしれない。

ヤマカガシにばったり遭遇!

巨岩の転がる急傾斜を登っていると、目の前の岩をヘビがちょうど移動しているところに出くわした。マムシではない。おそらくヤマカガシだろう。

毒蛇ヤマカガシ

臆病なため自分から人を襲う事はないが、ヤマカガシはれっきとした毒蛇である。とぐろを巻いてないので飛びかかられる恐れはないが、距離を置いてじっくり観察した。

急に現れた人間にイラついているのだろう、鎌首をやや持ち上げ気味に、舌をチョロチョロさせながらゆっくりと消えた。沢登り中に、今回みたいに出合いがしら的に遭遇したらけっこう危険だ。岩をつかむ時は気をつけようと、改めて思った。

8月に上下の滝壺で反応があった2段の滝に着いたが、ここでも渓魚の反応はなかった。岩盤主体の複雑で険しい流れの中には、釣れそうなポイントは山ほどある。それなのに何の反応もないのはおかしい。

流れ全体が陰になったところで、気配を消して立ち込む自分に気づかぬまま、25センチを軽く超えるイワナが、悠然と目の前を泳ぎ、また上流へ去ったのを見た。

渓魚はいる。しかし、浅瀬から走る姿をほとんど見ないのは、やはり先行者がすでに散らしてしまったのか。

いや、流れの底に定位する渓魚(とりわけアマゴ)の狙い方が、根本的にわかってないのも大きいだろう。

核心部がもう少しで終わるところで4時半となったので、納竿して下降を開始した。

アシビ谷核心部の滝。8月には魚が出たのだが…

アシビ谷の核心部は本当に険しく、登りよりも降る時の方が、はるかに緊張を強いられる。発電所まで下るのに、小一時間かかった。

発電所上流には二人連れの釣り人が入っていた。今朝テントを張っていた人といい、前々回に白滝谷で出会った沢登りの人といい、テンカラをやる人が確実に増えている。

自分と同じく山科から来たという釣り人は、毛針には出るがなかなか釣れないと苦戦していた。

「人の入りにくいところに行かんとどうしようもないなー」。渇水と、釣り人増による激戦は共通の悩みだ。その人は武奈ヶ岳経由で山越えして口ノ深谷源頭まで歩いて出て、けっこう良い型のイワナを釣ったらしい。「伊賀谷左股とかも魚影濃いですよ。上の方までアマゴがいるし」と教えると「あー、八丁平の川でもこんなアマゴ泳いでますよね」と返ってきた。

山を知る釣り人との、一期一会の会話は楽しいものだ。

この日は4連休の3日目ということで、帰りはえらい目に遭った。花折峠のトンネルの中から渋滞が始まり、普段なら50分の道のりが3時間かかってしまった。

9月に入ってから、今のところ1尾のアマゴもイワナも食ってない。あー、塩焼きが食いたい。