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安曇川上流でアマゴを釣る

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東京にいる2年半の間は釣りをすることもなかったが、関西に戻って来るので渓流釣りを再開するつもりだ。今年は安曇川上流、葛川(かつらがわ)に通ってみようと思う。年券8000円と、やや高めだが、明王谷や伊賀谷などのいい沢もあるし、源流部分の開けたスケール感がとても好きな川だ。年券を 釣りチケ で購入した。

本流は敬遠してきたが…

今年は、これまで敬遠しがちだった「本流」で、自信持って釣れるようになりたい。

ここ20年近くはテンカラ釣り(フライフィッシングと違って超シンプルな、日本伝統の毛針釣り)ばかりしてきた。しかし、ポイントを絞りにくい本流を避けて、つい、手ごろなスケールの里川か、源流部分の沢に入ることが多かった。

毛針だと瀬や開けた浅場は狙いやすいので減水気味の夏場は有利になるが、どうしても深場の大物が狙えないというジレンマがあった。深場狙いという意味では、今更ながらではあるが、ルアーも始めてみようと思ってる。

テンカラ釣りにコロナ自粛は必要か

日が上ってから、ゆっくり出発した。天候は曇り。夕方から雨と言ってるし、翌朝の高速深夜割引を使って東京にいったん戻るため、あっさりめの釣行にするつもり。

11時に中村小学校の橋のちょっと上流に駐車した。葛川漁協の橋から下流を見た時に、エサ釣り師らしき人を一人見かけたのみで、川は静かだった。

釣り人が殺到する解禁直後と違って、放流魚狙いの釣り人たちが去った後の5月の渓流は静かなものだ。警戒心の強いアマゴを相手にするため、現場に自分以外の他人の気配はないに越した事はないし、一箇所に止まる事なくテンポよく釣り上がっていくテンカラ釣りは、「三密」からは最も遠い釣りと言える。

伊賀谷の入り口

だから、単独行の渓流釣りにまでは、コロナ自粛は必要ないと考えている。もちろん、行き帰りにコンビニやガソリンスタンドに寄る時はマスクして用心するけども。

中村小学校の橋の少し下流の本流に入った。後になって気づいたが、ここで糸巻きを落としてしまった。結果的に、後で無事回収することになるのだが、ジャケットのジッパーは確実に閉めないと。

3.6mのテンカラ竿で釣り開始。テンカラは、道具も装備もシンプルなので、現場に着いたらすぐに釣り始められるのがいい。水量はやや少なめか。

枝谷の誘惑

伊賀谷が合流してくる出会いの、いかにも釣れそうな開きで、20センチほどのアマゴが見事な逆U字型を描いて飛び出した。しかし、このパターンの飛び出しには、合わせるのが難しい。夕方なら再度飛び出すこともあり得るが、派手に飛び出したアマゴは昼間だとほぼ、2度と出てこない。なので、この場はあきらめる。

「今年は本流で釣る!」と誓ったばかりだが、いかにも釣れそうな、いい感じの段差で流れ込む伊賀谷の「枝谷の誘惑」に抗しきれず、ほんの触りだけ釣り上がった。この谷には、型は小さいが、自然繁殖したヒレピンの綺麗なアマゴが濃い。林道が尽きたところから上流の左股を登ると、イワナも釣れる。

チビイワナがこんにちわ

そして、山ヒルも多い!山ヒルの恐怖を避けて、のびのびと釣り上がるなら、カラッと晴れた日に限る。数年振りに、近いうち釣り登りたい。

以前(90年代末期、テンカラに通いまくってた頃)に比べると、何度かの大増水を経たせいか流れが少しフラットになってる気がするが、確実に魚が出る感じの段差が続く。チビイワナ一尾だけ釣れたので流れに放して、本流に戻った。

向こう合わせで「釣れた」感じ

中村小学校の橋から本流を釣り上がる。むかし一度だけ、葛川漁協の稚魚放流を見学がてら手伝ったことがあるが、ここも放流ポイントだったな。しかし、朽木の支流や久多(くた)川で釣りした時も、いつも車で通過するばかりで、このあたりはこれまで落ち着いて入ったことがなかった。

開けた瀬の所々に大岩が転がって、流れに変化をつけている。テンカラにはいい感じの「そそる」流れが続いている。対岸の護岸沿いの中深の早瀬からも、アマゴらしきシャープな反応があった。

ヒレの欠けた成魚放流のアマゴ

夏場なら間違いなくカワムツかウグイが釣れてしまいそうなゆるい流れの中から、クネクネとした引きでアマゴが釣れた。見ると胸ビレが欠けた成魚放流アマゴだった。遊泳力が低くて、流れの強い所には出られないのだろうか。

途中から、さほど強くない雨が降ったりやんだりし始めた。木戸口町の、かつて喫茶店があったあたりまで釣り登り、その間に17〜18cmのアマゴを2尾リリースした。いずれも、向こう合わせ的に(水面でなく)水中から釣れた。

喫茶店跡地から367号線に出て、落とした糸巻きを回収するため、中村小学校の橋まで戻った。そのまま、葛川漁協の橋との中間あたりまで国道を歩いて下り、そこから本流を釣り上がった。

プール状の深場があったので、ルアーロッドに持ち替えて、スプーンを投げる。何度かやってるうち、小さな渓魚が、足下近くまでチェイスしてくるのを2度ほど確認した。

自分はルアーではまだ、一度も魚を釣ったことがない。だから、ルアーで魚が釣れるという実感がまだないのだが、追ってくることが確認できただけで嬉しかった。

やはり、どうしても一尾はキープして塩焼きで食いたい。そこで、再びテンカラ竿に持ち替えて、4時間前に通ったポイントをトレースするように釣り上った。

中村小学校の橋の少し上流の、中深の、見かけは緩いがトルクのある流れから、20cm弱のきれいな天然アマゴを一尾引き出した。

ヒレがピンピンの天然アマゴ

今回はアマゴ3尾を釣ったが、いずれも、沈みかけの毛針をくわえたところを向こう合わせで釣れた。

水面への飛び出しや、水中での「ギラッ」とした反転を確認して合わせたわけではないので、釣ったというより「釣れた」感じに近い。そこはちょっと物足らんかったが、とにかく、渓に戻ってこれたのが嬉しくてたまらない。

自分にとっての渓流シーズンは、解禁直後の放流魚狙いの釣り人達が去って渓が静かになる5月に始まる。禁漁となる9月末まで、まだ4ヶ月以上ある。楽しみは始まったばかり!